5月中旬から永田町(政界)では、安倍晋三首相が衆議院を解散し、衆参同日選挙を行うのではないかという観測が強まっている。参議院選挙は予定どおりに行うが、10月の消費増税前までに衆議院の解散総選挙があるという見方もある。解散は首相の専管事項なので、真相はわからない。しかし、国会議員やメディアの政治部記者が、解散で浮き足立っていることは間違いない。

衆議院解散と衆参同日選挙に抵抗感を持っているのが公明党だ。選挙においては、公明党の支持母体である創価学会が重要な影響を与える。率直に言うが、一部を除き、自民党議員は公明党の支援を得ずに当選することはできない。したがって、衆参同日選の可能性については、公明党の動向を分析すれば予測することができる。

5月23日、公明党は中央幹事会を行い、衆議院東京12区選出の太田昭宏前代表について、次期衆院選で小選挙区の公認を見送る方針を決めた。〈太田氏から党幹部に「小選挙区での活動は体力的に厳しい」との申し出があった。同選挙区では太田氏に代わり、衆院比例北関東ブロック選出の岡本三成氏がくら替え出馬する。/太田氏が比例代表に回るかは今後判断する。山口那津男代表は中央幹事会後の記者会見で、すでに安倍晋三首相や自民党幹部に太田氏の交代を伝えたと明らかにした。夏の参院選に合わせた衆参同日選の観測が影響したかは「関係ない。党の客観的な意思決定として決めた」と説明した。/太田氏は衆院当選8回。2006年に公明党の代表に就いた。09年の衆院選で落選し、代表を辞任。12年衆院選で国政に復帰し、第2次安倍政権で国土交通相を務めた〉(5月23日「日本経済新聞」電子版)。

山口氏が、今回の決定が衆参同日選と関係ないと強調するのは当然だ。衆議院の解散は、首相の専管事項だ。連立与党の代表である山口氏が、わずかでも衆議院解散に含みを持たせる発言をしたならば、首相の権限を侵犯することになるからだ。ちなみに、12区の新候補者になる岡本三成氏(54)は創価大学からシティバンク、ゴールドマン・サックス証券などに勤務した国際派で、実務能力も高い。リーダーシップがあり、人柄も穏やかだ。野党の国会議員からも評判がいい。岡本氏は、公明党の将来を担っていく重要人物と筆者はみている。公明党としては、次回の衆議院議員選挙で、岡本氏を単に当選させるだけでなく、次点候補者と大差をつけて大勝利させることを狙って、万全の態勢を取ることにしたのだと思う。