おおにし・ひろと●筑波大学大学院文芸言語研究科博士課程修了。英オックスフォード大学客員研究員を経て現職。NHK語学番組の人気講師。(撮影:梅谷秀司)

日本人の大半はなぜ英語が話せないのか──。英語学習者なら、一度は考えたことがあるはずのこの質問。私の答えは単純だ。

「そもそも話すための教育を受けていない」

これまでの教育では、英語は「訳すためのもの」であって「話すためのもの」ではない。「訳す」だけなら、英語に対する深い理解は要らない。極端にいえば、単語の意味から文意を類推するだけでも何とか訳せる。

だが、それでは「話す」ことはできない。話すためには、ネイティブがどういった方法で文を作っているのかを、理解しなければならないからだ。

これまでの英語教育は、そうした要望に応えていただろうか。例えば文法。文法事項を詳細に解説していても、最も大切な「英語の心」、すなわち「ああ、こんな要領でネイティブは文を作るのだな」という理解を促してはくれない。

ネイティブと同じように話せるようになるには、「英語を日本語へと訳せる」ようになるだけではダメだ。単語の選び方、文の作り方について、彼らと同じように「心が動いて」いなければならない。そのためにまず、基本となる文法と単語について解説しよう。

英語は「配置の言葉」基本となる2つのルール

英語の本質は「配置の言葉」という点だ。英文の基本配置は「5文型」に、「指定」と「説明」という修飾ルールを加えた原則によって決まっている。このルールさえ頭に入れれば、ほとんどの文は作ることができる。

まず文の骨組みを決めるのが、1つ目のルール「基本文型」だ。基本文型には5つあり、①他動型は対象に力を及ぼす、②自動型は単なる動作、③説明型は主語を説明する、④授与型は「あげる、くれる」を表す、⑤目的語説明型は目的語に説明を加える、となる。ネイティブは表現したい内容を、5つの基本文型のどれかに当てはめて英文を作る。文型さえ決まれば、その設計図に従って表現を放り込んだら英文は完成する。