情報漏洩の調査結果を受けて会見した野村HDの経営陣。永井CEO(左)は「経営を自らやっていくのが私の責任の取り方」と述べた(撮影:尾形文繁)

東京証券取引所改革の歪んだ議論を象徴する事件が起きた。

野村ホールディングス(HD)は5月24日、東証の市場区分変更議論に関し、社員による情報漏洩があったとの調査結果を公表した。今回、インサイダー取引などの違法行為は認められなかったが、野村HDの永井浩二CEOは会見で、「(トップ交代に発展した)インサイダー事件から7年。ルール(法令)さえ守っていればいいだろうという考えが組織全体に残っていた。経営陣としてもショックだ」と釈明した。

議論が時価総額に集中

問題の舞台は、東証が昨年10月に設置した「市場構造の在り方等に関する懇談会」(以下、懇談会)だ。

2013年の東証と大阪証券取引所の統合後、現物株市場は東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックの4つに分かれたまま。投資家の利便性や上場企業の企業価値向上の動機づけなどを改善させるため、市場区分を見直す議論を開始した。

最も注目を集めたのは東証1部の扱いだった。1部全体の上場社数は、先進国で例のない2100社以上にまで膨張。トヨタ自動車やファーストリテイリングなど日本を代表する企業が上場する一方、約半数が株式時価総額500億円未満であるなど、1部上場ブランドの劣化が指摘されていた。