(撮影:梅谷秀司)

米下院公聴会後、トヨタのメディア戦略は一変した

豊田章男ほど、コミュニケーションに気を配る経営者はいない。役員、従業員、提携先の企業、サプライヤー、顧客、株主などと、円滑なコミュニケーションを取る努力を惜しまない。記者会見や現場訪問にとどまらず、あらゆる手段を駆使し、自らの考えを頻繁に発信する。

というのは、「公聴会の教訓」があるからだ。2009年から10年までの大規模リコール問題に直面した際、仮に、米国でトヨタ自動車の製品の品質に対する不信が広がる前に説明責任を果たしていたならば、あれほどまでの袋だたきに遭うことはなかった。

いや、むしろ日頃から、トヨタの経営哲学や企業文化を社長自らが説明していれば、問題が発生しても吊るし上げに遭うような事態は避けられたのではないか、という反省がある。章男が米下院公聴会に出席した後、トヨタのメディア戦略は一変した。転機となった。

章男が、インターネット上に「GAZOO.com」の前身となる「UVIS(中古車画像情報システム)」を立ち上げたのは、1996年である。彼のネット活用は年季が入っている。

「GAZOO.com」は、オンラインモールやメディアサービスを伴って、クルマの総合コミュニティーサイトに発展した。企業が自ら運営するオウンドメディアの先駆けだった。