財務省や財政再建派議員はヒヤヒヤしたに違いない。今年10月の消費増税を予定どおり実施することが彼らの悲願。ところが10連休明け後、消費増税を延期するムードが政界で急速に高まった。原因は、株価急落と国内景気の減速だ。

再々延期、MMT…やまぬ拡張派の叫び

増税実施まで半年を切り、最終判断が変わりうるため最も神経質になるこの時期に、トランプ米大統領は対中関税追加引き上げを表明し、世界同時株安が現出した。5月13日には、折からの景気減速で国内の景気動向指数による基調判断がアベノミクス開始時以来となる「悪化」へ下方修正。これで20日に発表される今年1~3月のGDP(国内総生産)成長率が大幅なマイナスに転落しようものなら、増税延期派が一気に勢いづきかねない状況だった。

安倍晋三政権にとって今回の延期のハードルは、前2回の延期に比べ高い。景気の落ち込みを防ぐために決めた手厚い増税対策では、プレミアム付き商品券やキャッシュレス決済導入などの準備が民間、地方自治体の現場で着々と進む。

最大の壁は、国民に約束し、消費増税と同時に開始する幼児教育・保育無償化だ。安倍政権は、消費税率引き上げによる増収分の使途を借金返済から幼児教育・保育無償化に変え、その際、経済界の子ども・子育て拠出金を3000億円増額し、費用の一部を負担してもらうことも決めた。ある経済同友会幹部は「増税しないなら、われわれは絶対に金を出さない」と増税延期を強く牽制する。

事前の市場の予想ではマイナス成長だった1~3月の実質GDP成長率。ふたを開けてみれば、前期比年率プラス2.1%に着地し、ひとまず財務省内に安堵の声が漏れた。GDP発表前に衆院解散総選挙の可能性に触れていた菅義偉官房長官はその後、今回のGDPが消費増税に与える影響は「まったくない」と言及した。