イラスト:関 祐子

70代の女性Aさんは、4年ほど前にボウリングで腰痛を発症。自宅近くの整形外科で処方された薬を服用していたが、症状は一向によくならない。そこで別の整形外科を受診し、関節にブロック注射という局所治療を受け、運動療法を始めたところ、腰痛は改善。現在は薬を使わない生活を送る。「治療費で1カ月5000円もかかっていた。この4年間は何だったんだ」とAさんは憤る。

骨や筋肉など運動器を診療する整形外科。五十肩、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、捻挫、骨折など病名はさまざまだが、患者の症状は「痛み」だ。その点で、整形外科は、「痛みの治療をする科」ともいえるだろう。

抗うつ薬や医療用麻薬、広がる痛み止め治療

整形外科で用いられる痛み止めで代表的なものは、「ロキソニン(一般名:ロキソプロフェンナトリウム)」や「ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)」といった非ステロイド系抗炎症薬。このほかに「リリカ(プレガバリン)」や、「タリージェ(ミロガバリンベシル)」、がん性疼痛治療薬でもあるオピオイド鎮痛薬(医療用麻薬)の「トラマール(トラマドール)」、「トラムセット(トラマドール・アセトアミノフェン配合剤)」、抗うつ薬「サインバルタ(デュロキセチン)」などが使われている。

患者にしてみたら、治療の選択肢が増えたことは喜ばしいことだ。だが、「今の診療では画像検査で異常がなければ原因を突き止めることはせず、漫然とした薬物治療が行われていることが多い」と警鐘を鳴らすのは、整形外科医でもある早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡恒治教授だ。冒頭のAさんは金岡教授が診た患者で、服用していた薬は、プレガバリン。製品名をリリカといい、2010年に神経障害性疼痛に認められた。