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医師に流れる製薬マネーが患者への治療を左右する Part1 3つの罪|第1の罪・製薬会社と医師の深すぎる関係

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製薬会社から有力医師に流れ込む多額の金は薬の処方を歪ませる懸念がある。そんな医師に物を言えない薬剤師や、製薬会社丸抱えの講座を主催するメディアの罪も重い。

イラスト:関 祐子

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数ある薬の中から、医師はどのようにして薬を選んでいるのだろうか。特効薬が1つしかない場合を除き、複数の選択肢の中で「この製薬会社の薬を使う」という判断は、医師の裁量による。

自社の薬を使ってもらうため、製薬会社は医師に対して日々営業活動をしている。日常的に行われているのが、薬の説明会だ。MR(医薬情報担当者)と呼ばれる営業担当者が、病院やクリニックで新薬の説明をするのだ。説明会ではたいてい3000円ほどの弁当が配られる。ランチ時や夕食時に医師が弁当を食べに来て、ついでに薬の説明も聞くという具合だ。

「弁当が薬の処方に影響するわけない」。多くの医師はこう言うだろう。だが、「2016年に発表された米国の研究では、2000円ほどでも食事の提供を受けると、宣伝された薬の処方率が高まると報告された。回数や金額が増えるほど、宣伝効果が高いという傾向までわかった」(前出の谷本哲也医師)。

現場の医師からは、「名前を聞いたことのある薬はつい使ってしまう」「新薬ならば一度は使ってみたくなるのが医師の心理」という声も上がった。弁当や食事そのものよりも、MRと接する機会の増えることが処方に影響していると考えられる。

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