ハイテク・サプライチェーンは複雑に入り組んでいる。どの企業のビジネスも、自社の製品や技術だけでは成り立たない。米政府はそれを熟知し、ファーウェイに「世界でモノと技術を買わせない」措置に出た(撮影:梅谷秀司)

グーグル、インテル、クアルコム──米ハイテク大手が雪崩をうって、中国の巨大企業と距離を置き始めた。米商務省が5月17日、中国の通信設備大手・ファーウェイ(華為技術)に対し輸出管理規則(EAR)に基づく禁輸措置を発動。それを受け、ハイテク大手が続々とファーウェイとの取引関係見直しに動いている。

この禁輸措置は、米国に安全保障・外交上の懸念をもたらす企業を「エンティティ・リスト」という公開名簿で指定し、米国の製品・技術の輸出を制限するもの。ファーウェイの場合は、イランとの不正取引で1月に米司法省に刑事訴追されたことが発動の主な理由だ。リスト指定先に輸出する際は米政府の許可が必要で、基本的に許可が出ることはない。事実上の禁輸措置として運用されている。

禁輸措置に違反してファーウェイへの販売や技術提供を続けたらどうなるか。違反者は「ディナイド・パーソン・リスト(DPL)」という別のリストで指定され、米国でのあらゆる商取引が禁じられる。冒頭のようなファーウェイ回避の行動は、自社のビジネスを守る合理的な選択なのだ。

破壊力は「核爆弾級」

ファーウェイのスマホ工場。部品調達への影響は甚大だ(撮影:梅谷秀司)

この措置がファーウェイの経営に甚大な打撃をもたらすのは確実。そればかりか、世界のハイテク・サプライチェーンにも影響を及ぼす。米商務省元高官のケビン・ウルフ氏(文末囲み記事インタビュー)は「核爆弾の投下に等しい」と言う。禁輸措置は米国だけでなく、日本など各国の企業の行動も制限する仕組みだからだ。

例えば日本企業が米国由来の半導体や技術を組み込んだ自社製品をファーウェイに販売することは、「米国由来品の再輸出」として制限される。日本からの輸出であってもだ。