米中貿易摩擦がかなり長期にわたって続くという見通しは日本でも定着してきた。それほど米国側の姿勢が強硬なのだが、最近になって「文明の衝突」論が頭をもたげてきたのは危険な兆候だ。「文明の衝突」とは、国際政治学者のサミュエル・ハンチントンが、冷戦後の世界では文明の違いが対立の軸になるとして提唱した理論体系である。米中貿易摩擦は、西欧文明の代表である米国と中華文明との戦いというわけだ。

発端は4月末に米国で開かれたシンポジウムでの、米国務省のキロン・スキナー政策企画局長による発言だ。米中貿易摩擦は「まったく異なる文明間の争い」で、中国は「米国にとって初めての強大な非白人の競争相手」だとした。

スキナー氏は現在、トランプ大統領とポンぺオ国務長官の中国観を政策構想にまとめているという。黒人である彼女に担当させたところに人種差別批判をかわす狙いを見て取るのはうがちすぎか。