【今週の眼】早川英男 富士通総研エグゼクティブ・フェロー
はやかわ・ひでお●1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2013年4月から現職。著書に『金融政策の「誤解」』。(撮影:梅谷秀司)

4月6日号の本コラム「アベノミクス6年間での『発見』」で、筆者は全要素生産性(TFP)の低迷という事実を指摘したうえで、その原因を考えるのが経済学者・エコノミストの責務だと述べた。筆者自身まだ確たる答えを得るに至ってはいないが、今回は現時点で考えられる2つの仮説を紹介してみよう。

第1は、閉鎖的な日本企業がオープンイノベーションの時代に適応できていないという問題である。バブル崩壊後も10年余り前にはデジタル家電のシャープ亀山モデルや省エネ車のプリウスなど、世界に誇る日本製品があった。しかし今、そうしたものはなかなか思いつかない。社内で製品開発を行い、社内で量産化を進めるというビジネスモデルはもう終わったのだ。

事実、注目の5G(第5世代移動通信システム)でも日本企業の存在感は薄く、ユニコーンと呼ばれる新興企業の数ではASEAN諸国の後を追いかけているのが日本の実情である。