米アイオワ州でも中絶禁止法が成立し、それに反対する市民たちが集まっている(AP/アフロ)

「恐ろしい時代だった」。ルーマニアの婦人科医が1966〜90年を振り返って言う。独裁者チャウシェスクの下、人工妊娠中絶と避妊が全面的に禁止されていた時代のことだ。「女性にとってセックスは恐怖と苦痛以外の何物でもなかった」──。

米共和党の思惑どおりに事が進めば、米国の女性も遠からず同じような恐怖を味わうことになるかもしれない。米国ではジョージアやアラバマなど複数の州で中絶を全面禁止する法案の提出・可決が続いている。連邦最高裁判所の判事が保守派優勢になったことを受けて、73年のロー対ウェイド判決を覆そうとする動きが強まっているのだ。

憲法上、女性が中絶を受ける権利を保障した同判決が覆されれば、米国の社会は一変するに違いない。そう、チャウシェスク時代のルーマニアのように。