(イラスト:谷山彩子)

一生懸命頑張っているのに評価されない、と嘆いている人はどこにでも見られますが、こういう人たちに共通するいくつかの特徴があります。中でも「いつも80点を取っている」という点はその筆頭に挙げられるでしょう。当たり前のことですが、80点の人は100点の人にはかないませんし、100点の人は120点の人にかないません。つまり「いつも80点を取っています」という「義務感の人」は、「ほとんどの仕事は60点でやり過ごしているけど、面白い仕事が来ればむちゃくちゃ頑張って120点を出します」という「好奇心の人」に毎回負けている、ということです。

一方で、これを逆側から指摘すれば、集団に埋没せず一頭地を抜く人に共通しているのは、評価や成長につながらない「どうでもいい仕事」は適当にやり過ごしながら、人生を大きく変える可能性のある「ここぞ」という仕事に対しては全エネルギーを注ぎ込んでいる、ということです。これは軍事においても同じことで、前線に戦略資源を空間的・時間的に分散して投入する、いわゆる「戦力の逐次分散投入」は最も忌避されるべきスジの悪い戦略です。「いつも頑張っているのに」と言って嘆いている人の多くは、自分の時間と労力という戦略資源をまさに逐次分散投入してしまっている、ということです。

高い評価を勝ち得て社会のステージをドンドン上っていく人は、「ここぞ」という打席の見極めがうまい。その典型例として挙げたいのが音楽家の坂本龍一さんです。もちろん、坂本さんの音楽的な才能と努力が今日の高い評価の礎を成していることは論をまちません。しかし、ここで改めて指摘しておきたいのが、坂本さんの「仕事選びのうまさ」という点です。