安倍晋三首相は、北朝鮮との関係を本気で動かそうとしている。〈安倍晋三首相は6日夜、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長との日朝首脳会談の実現を前提条件をつけずにめざす方針を正式に表明した。/北朝鮮による飛翔体の発射を受けて同日夜に行ったトランプ米大統領との日米首脳電話協議の後、記者団に「拉致問題を解決するためにあらゆるチャンスを逃さない。私自身が金正恩委員長と向き合わなければならない。条件をつけずに向き合わなければならないという考えだ」と語った。/安倍首相はこれまで、拉致問題で一定の前進があることを日朝首脳会談の前提としてきた。米国が北朝鮮との対話を進める中、歩調を合わせて日朝首脳会談を実現させ、拉致問題の解決につなげる方針に転換する。こうした考えは、トランプ氏にも伝えたという〉(5月7日「朝日新聞」朝刊)。

安倍氏が、前提条件をつけずに金正恩・朝鮮労働党委員長と会談する意向があることを、公の場で表明したことには重要な意味がある。すでに水面下で、首相官邸が金正恩氏の側近に首脳会談を行いたいと伝え北朝鮮から前向きの回答が来ていると筆者はみている。

また、菅義偉内閣官房長官が、5月9〜12日に米国を訪問した。マスメディアは、官房長官の訪米が異例であり、菅氏が次期首相候補として浮上したという政局の観点からの報道が中心だ。筆者は、それよりもペンス副大統領、ポンペオ国務長官、シャナハン国防長官代行等との会談内容に注目している。〈「ポスト安倍」として急浮上したとの見方が出る中での事実上の「外交デビュー」で、米政府はペンス副大統領や閣僚級が会談に応じて厚遇した。菅氏は無難に乗り切ったものの、「あいさつ外交」にとどまった〉(3月11日「朝日新聞」朝刊)との見方が主流だが、会談内容はほとんど表に出ていない。筆者は米国からはイラン情勢に関する詳しい説明があり、菅氏は、安倍氏が条件をつけずに金正恩氏と会談する意向を持っていることを伝え、トランプ政権の理解を得たとみている。