止まらない追加関税の連鎖、中国の対米交渉3つの条件 どちらが先に降りるかを競うチキンレース

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合意への期待は「トランプ砲」で吹っ飛んだ。チキンレースの行き着く先は。

劉鶴副首相(左)はハーバード大学で修士号を取得した米国通。今年2月にホワイトハウスでトランプ大統領と会談した際は座席の配置が「上司に叱られる部下のようだ」とされ、中国のネットで国辱外交との批判を浴びた(AFP/アフロ)

「中国は原則問題では絶対に譲歩しない」「貿易戦争には反対だが、対応する準備はできている」。米国政府が中国製品に対する制裁関税第4弾を発表した5月10日、中国側代表の劉鶴副首相は、自国メディアによるインタビューでそう強調した。この日、米中貿易摩擦に関する11回目の交渉は物別れに終わった。

報復として中国側は、昨年9月に5~10%の制裁関税をかけた600億ドル相当の米国製品について、6月1日から税率を最大25%へ引き上げると公表した。米国の対中関税引き上げ「第4弾」の実施時期は未定だが、最短で6月末とみられる。

トランプ米大統領は6月下旬に開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議で訪日する際、中国の習近平主席と会談して合意を探る意向を示している。しかし、トランプ流の駆け引きに不信を強めている中国側が応じるかは微妙だ。むしろ中国は自国の「死守線」を示したうえで、徹底抗戦する構えのように見える。

「経済は好調」と鼓舞

ヒントになるのは劉氏が先のインタビューで示した、米国と妥協するための3つの条件だ。第1に、米国が制裁関税をすべて撤廃すること。第2に、(米国の貿易赤字を減らすために)中国が購入する米国製品の規模を中国が受け入れ可能な水準にすること。第3に合意文書をバランスあるものにすること、つまり中国側が不公平と感じる内容を排除するということだ。

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