【今週の眼】佐藤主光 一橋大学大学院教授
さとう・もとひろ●1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

以前、本コラムで「財政政策に奇策はない」と論じたが、相変わらず(政治家を含めて)人々は奇策が好きなようだ。

中央銀行が国債をすべて購入すれば国の借金は解消するという「ヘリコプターマネー論」や、政府が財政再建しないことにコミットすれば人々の消費・投資意欲を喚起し脱デフレにつながるという「シムズ理論(財政の物価理論)」が流布したかと思うと、今度は「現代貨幣理論(MMT)」である。

MMTは、主要な提唱者のケルトン教授(米ニューヨーク州立大学)が2016年米大統領選挙の予備選で旋風を起こした民主党のサンダース議員の顧問を務めていたことなどから注目が集まった。その主張の核心は「通貨を発行する権限があって自国通貨建て国債を発行する政府は、財政政策において財政赤字や債務残高などを考慮する(財政再建に努める)必要はない」というものだ。