共創をキーワードに吉澤社長(写真)自らパートナーの囲い込みに邁進するNTTドコモ

通信速度の向上のみならず、超低遅延、多数同時接続という、4Gまでにはなかった特長を備える5Gは、多くの企業がIoT活用に乗り出す格好のチャンスだ。回線を提供する通信キャリアにとっては、これまで個人ユーザー中心でビジネスをしてきたが、法人向けを拡大する転機が到来している。

ただ、今秋のプレ商用化を前にキャリア各社が手がけている実証実験の内容の多くは似たようなものだ。例えば、危険な工事現場などを想定した遠隔操作では、NTTドコモはコマツ、KDDIは大林組やNEC、ソフトバンクは大成建設と共同で実証実験をしているが、室内でモニタリングしながら建機を動かすといった中身に大差はない。キャリアと組む法人パートナーからも、「実証実験の段階では、どことやっても大きな違いはない」という声が上がる。

5Gは仕様が国際規格で標準化され、速さなどのスペックが同じであるため、実験分野がかぶるのはある意味当然でもある。ではこの先、キャリア各社は法人向け市場において、いったいどのような差別化を図ろうとしているのか。

ドコモは1000人超える営業人員投入

「5Gは非通信部門の成長の大きなドライバーになる。パートナーの皆さんと共創することによって新しいサービスを生み、そこで収益を生み出したい」。ドコモの吉澤和弘社長は、今年3月に開いたパートナー企業向けのイベントでそう語った。ドコモの5G戦略の特徴は、同社のプログラムに参加するパートナーの規模にある。4月末時点で2600社を超え、大手3社で最大とみられる(KDDI、ソフトバンクは非公表)。