もり・まさひこ●京都大学卒業。伊藤忠商事を経て、1993年森精機製作所(当時)入社。99年から現職。(撮影:梅谷秀司)

日本の工場における5G活用は欧州と比べると出遅れ気味だが、「工場のプロ」ともいえるFA(ファクトリーオートメーション)を手がける企業は5Gの可能性をどう見ているのか。2015年に独企業と経営統合し、欧州の事情にも精通する工作機械の国内最大手・DMG森精機の森雅彦社長に聞いた。

──5Gは製造業にどんな変化をもたらしますか。

製造現場における通信は、プログラムに対して0.1秒遅れるだけでも加工の失敗につながる。さらに1秒遅れてしまうと、ロボットと周囲の機械がぶつかる事故も起こりうる。通信状態の不安定なブルートゥースなどから5Gに通信技術が置き換われば、ロボットとカメラ、センサー間の通信無線化に追い風が吹く。

また工場内は公道と違って自動運転も実現しやすい。機械の場所が決まっているので、従業員に発信器付きのウェアラブル端末を持たせれば無人搬送車は何にもぶつからない。5Gを使えば2030年ごろには工場内の部品や材料の搬送業務が完全に自動化できる。従来は遅延性や機密上の観点からタブーとされてきた、工場の遠隔管理も部分的に可能となるだろう。非常に面白い時代になってきた。

──どんな業界から普及が進みそうですか。