人喰い ロックフェラー失踪事件 (カール・ホフマン 著/奥野克巳 監修/古屋美登里 訳/亜紀書房/2500円+税/436ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

【著者プロフィル】Carl Hoffman/1960年生まれ。米国のジャーナリスト。『ナショナル・ジオグラフィック・トラベラー』編集者。『アウトサイド』『ウォールストリート・ジャーナル』などに旅行記を寄稿。著書に『脱線特急 最悪の乗り物で行く、159日間世界一周』など。

「虚実皮膜」とは、芸術は虚構と事実との、皮と膜とのようなほんのわずかな間にあるという意味で、近松門左衛門が語ったとされる言葉だ。しかし、実際にそうかは時と場合によるだろう。本書で扱われる「ロックフェラー失踪事件」について知れば、「虚実の皮膜」にあるのは悲劇でしかないということを痛感する。

事件は1961年のオランダ領ニューギニアで起きた。ロックフェラー家の一員として輝かしい未来を約束されていた、マイケル・ロックフェラーという米国の白人青年が、現地のアスマット族によって殺されたのだ。単なる殺人ではなく、首狩りに遭い、その後食べられてしまった。