経済学という学問の「奥の院」のメンバーであり、ノーベル経済学賞に最も近かった日本人と称される故・宇沢弘文。主流派経済学の発展に寄与しながら、後に徹底批判へと転じた背景にあったものは何だったのか。86年の生涯を640ページ余で描く。

資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界(佐々木 実 著/講談社/2700円+税/642ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──執筆のきっかけは?

竹中平蔵の評伝『市場と権力』の取材の一環でお目にかかりました。竹中に関する質問は早々に切り上げ、経済学者および経済学への疑問を次々にぶつけました。これまで出会った経済学者とは全然違う、深い問題意識を持つ碩学であるとわかったからです。

評伝を書く許可を得た後、宇沢の自宅で一日中話を聞く機会が何度もありました。私の経済学の知識が乏しかったため、執筆に時間がかかってしまいましたが。

──宇沢は米スタンフォード大学、シカゴ大学を拠点に活躍し、35歳でシカゴ大教授になりました。