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巨大科学施設を駆使する住友ゴムの「エイトマン」 ゴムの謎を解明して生まれたエコタイヤ

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岸本さんはスパコン「京」を利用し製品につなげた代表的なユーザーと評価されている。この「京」は8月16日に供用停止になる(写真:山根一眞)

車はタイヤがなければ、ただのハコ。動力がエンジンから電気に替わろうともタイヤは不滅で、自動車のことを車輪という意味もある「車」と呼ぶのは当然だ。

そんなタイヤだが、実はわからないことだらけだった。ゴムは謎の素材だったのだ。

そのゴムの正体を解き明かすべく、巨大分析装置を使い尽くし理想のタイヤを追い求めてきたのが、「ダンロップタイヤ」の製造元、住友ゴム工業・研究開発本部分析センター長の岸本浩通さんだ。

岸本さんは東大大学院の新領域創成科学研究科で学んだ(写真:山根一眞)

筆者が岸本さんの名前を知ったのは、「SPring-8」(大型放射光施設)、「SACLA」(X線自由電子レーザー施設)、スーパーコンピューター「京」、「J-PARC」(日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が運営する大強度陽子加速器施設)などを訪ねたときだった。「うちの施設を使って画期的な自動車用エコタイヤ『エナセーブ』を開発したエンジニアがいる」と聞いた。

SPring-8は1100億円、SACLAは388億円、J-PARCは1524億円(第1期)、「京」は1111億円。いずれも巨額の建設資金が投じられた、日本の科学力の象徴とされる施設ばかりだ。

岸本さんはそれらの施設を使い尽くして新しいタイヤの開発につなげた。その前人未到の道筋とは?

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