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電気をどう選んでいるか

脱炭素化に向けて、太陽光や風力など再生可能エネルギーへのシフトが進む欧米。しかし日本では、再エネ由来の電力はコストが高く、大規模な調達は難しいとされてきた。日本企業の二酸化炭素(CO2)削減の取り組みは主に省エネなどエネルギー効率の改善が主体で、使用するエネルギーを見直すことで排出ゼロにする取り組みは遅れていた。

だが、ここ1~2年の間にそうした状況は変化しており、国内でも再エネ調達を加速しようとする企業が増えている。

その実態を明らかにするため、本誌は3月下旬から4月上旬にアンケートを実施した。対象は、日本を代表する製造業や流通、サービス、建設、不動産、運輸、金融などさまざまな分野の大手企業150社(電力・ガス・石油などエネルギー供給企業を除く)。脱炭素化や再エネ調達への取り組み、政府のエネルギー政策などについて聞いた。回答を得られたのは108社。そこから見えてきたのは、再エネへのニーズの高さ、再エネ調達への前向きな姿勢だった。

(アンケート結果一覧はこちらのページをご覧ください)

【アンケートの概要】
主な上場企業150社を対象に本誌が3月下旬〜4月上旬に実施。回答があったのは次の108社(一部の企業は主要子会社のみの回答や部分回答)。三井不動産、三菱地所、住友不動産、パナソニック、ソニー、シャープ、セブン&アイ・ホールディングス、ファミリーマート、ローソン、日本電信電話(NTT)、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクグループ、トヨタ自動車、マツダ、日産自動車、デンソー、ブリヂストン、東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングス、T&Dホールディングス、日本マクドナルドホールディングス、ワタミ、すかいらーくホールディングス、吉野家、日本郵船、川崎汽船、クボタ、花王、ユニ・チャーム、LIXIL、積水ハウス、積水化学、大和ハウス工業、住友林業、清水建設、鹿島、大成建設、戸田建設、日本航空、ファーストリテイリング、クレディセゾン、オリックス、キリンホールディングス、アサヒグループホールディングス、サッポロホールディングス、キッコーマン、明治ホールディングス、カルビー、東京急行電鉄、第一三共、大塚ホールディングス、三菱商事、丸紅、伊藤忠商事、住友商事、三井物産、双日、AGC、富士通、NEC、野村総合研究所、マルハニチロ、日本水産、日清オイリオグループ、セコム、レンゴー、凸版印刷、大日本印刷、三菱ケミカルホールディングス、三井化学、昭和電工、住友化学、旭化成、東レ、帝人、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJ銀行、三井住友フィナンシャルグループ、アスクル、イオン、丸井グループ、J.フロント リテイリング、三越伊勢丹ホールディングス、ダイキン工業、日立製作所、東芝、三菱電機、ルネサスエレクトロニクス、三菱マテリアル、大和証券グループ本社、野村ホールディングス、富士フイルムホールディングス、キヤノン、セイコーエプソン、リコー、TDK、コニカミノルタ、アルプスアルパイン、村田製作所、太陽誘電、日東電工、京セラ、ローム、ジャパンディスプレイ、ミネベアミツミ、NTN

予想を超えて拡大する低CO2電力のニーズ

CO2排出の少ない電力調達への取り組み(検討中のものも含む)について各社に尋ねたところ(Q1)、80社近い企業が、「太陽光発電など自社での再エネ発電施設の導入」を行っている(検討中を含む)と回答。「グリーン電力証書などの活用」「FIT(固定価格買い取り制度)の認定を受けていない再エネ電力などの購入」が続いた。経済産業省が市場整備を進めている「非化石証書」とセットにした電力の購入も検討中を含め50社超に上っている。

電力会社に期待すること(Q2)については、「電気料金の引き下げ」や「電力の品質確保や安定供給」を押しのけて、「CO2排出係数の低い電力の供給」がトップに立った。「再エネ100%の電力供給」も回答企業の6割超が期待している。

こうした回答状況について、再エネの動向に詳しい髙村ゆかり・東京大学教授は、「日本の大手企業の脱炭素化への意識の変貌ぶりに驚いた。とりわけ多くの企業が再エネに関心を持ち、調達の取り組みを進めていることがわかった」と語る。