外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が4月、施行された。令和ニッポンは、外国人とともに働き、生きることが日常になる時代だ。外国人労働者やネトウヨのような排外主義の問題を追ってきた硬派のジャーナリストは、団地が時代の未来を照らし出していると語る。

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外国人増≠治安悪化、むしろ必要な“栄養”

──なぜ団地に注目したのですか。

僕の取材テーマはすべて地続きです。外国人労働者を取材し、それに対する排外主義を追う過程で、視野に入ってきたのが団地でした。

街頭で始まった排外主義者の活動は2012年ごろから、東京・新大久保、大阪・鶴橋といった外国人の集住地域を直接攻撃するようになりました。その攻撃の舞台の1つが団地だったのです。

同時にテレビや一部の週刊誌も、「外国人が増えて治安が悪化した」という文脈で団地を語るようになりました。でも本当にそうなのか? この疑問が団地をめぐる取材を後押ししました。

──実際にはどうでした?

団地を歩くと、「治安が悪化した」と言うほどのことはない。階段が汚れているとか、ゴミの出し方が悪いとか、治安というより環境の問題。それも外国人が団地の生活に慣れれば、消えていきます。

それでも例えば埼玉県の芝園団地には今も、「中国人が増えてゴミも増えた」という文脈を求めて、テレビ局が来ます。実はもうゴミなんかなくてきれいなものだから、放送上はボツです。ただ、こういう取材を団地の自治会は深刻に受け止めています。

自戒も込めていえば、メディアはみんな「川口浩探検隊」。探検隊にはスリルと危機が不可欠で、何か違和感をもたらすものが現場になくてはならない。「団地が近づいてきました、この奥に何があるんでしょう、おっと、ゴミが見えてきました!」となればメディアはうれしい。でもつねにこんな視点で団地を切り取って、ごく普通に生活している住民をおとしめたり、特定の結論に結び付けたりするのは間違いです。団地はこういった不幸な烙印を押され続けてきたのです。