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今年7月に本格施行される改正相続法。その中でも重要と思われる1. 特別の寄与、2. 遺留分制度の見直し、3. 婚姻20年以上の夫婦に認められる自宅の生前贈与での優遇措置、4. 配偶者居住権の4点について、中身を詳しく見ていこう。2020年4月から導入される4. 以外は、いずれも7月から始まる制度だ。

さらに平良明久弁護士(弁護士法人Y&P法律事務所)と浅川典子税理士(税理士法人山田&パートナーズ)の2人に、専門家ならではの視点からポイントを解説してもらった。

1. 義父母の介護に報いる「特別の寄与」を新設

介護に協力しても相続人でなければ遺産分配にあずかることはできず不公平──。そのような問題を解消するため、改正法には「特別の寄与」という制度が新たに盛り込まれた。相続人ではない親族が介護や看病で貢献した場合、相続人に対し金銭を請求することができるようになった。

「寄与分」という考えはこれまでも法律上あった。事業の手伝いや生活費の仕送り、介護などを通じて、亡くなった人(被相続人)の生前にその財産の維持や増加に影響するような貢献をしたときは、貢献度合いに応じて相続額を増やすという考えだ。ただし寄与分が認められるのは相続人のみだった。

長男の妻が義母の介護を行っているが夫(長男)はすでに亡くなっているケースでは、改正前だと妻は遺産分割の際に貢献分を請求する手だてがなかった。それが改正後は、「特別寄与料」として金銭を請求できるようになった。相続人が複数いる場合は全員で特別寄与料を負担する。

特別寄与料は、ヘルパーなどの第三者に委託したら費用がどの程度かかったかを見積もり、介護した日数を掛けるなどして、計算することになる。介護日記などで記録を取っておくことが重要だ。

[専門家の視点]

平良弁護士 特別寄与料の請求が容易に認められるかというと、そう簡単ではないだろう。「無償で療養看護またはその他の労務を提供」し、「被相続人の財産の維持や増加に貢献した」ことが必要になるからだ。介護サービスの手配や入院の付き添いをしていたというのでは難しいだろう。事業者に介護を頼んでいたら費用がこれだけ必要だったが、その分節約できたなどといえなければならない。

協議の場で特別の寄与が相続人たちに認められなかった場合は、基本的に相続の開始および相続人を知ったときから6カ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要がある点にも注意したい。一方で特別寄与料をめぐる争いを避けるため、被相続人となる人は生前に適切な対価を支払ったり、遺言で財産の一部を渡すようにしたりすることを考えてもいいのではないか。被相続人をはじめ皆がより心配りをするようになれば、制度改正にも大きな意義があるだろう。

浅川税理士 税務上で気をつけたいのは、特別寄与料として受け取った分は相続税の課税対象となる点。しかも相続税額は加算される。遺言でもそうだが、相続人でない人が遺産を受け取った場合、2割加算となる。介護してもらっていて子どもの夫や妻に金銭的に報いたいなら、生前贈与をするほうが税負担は軽くなる場合もある。

2. 不足分は金銭で補う「遺留分制度の見直し」