
芸能界きってのおしどり夫婦として知られる中尾彬・池波志乃夫妻。昨年出版した『終活夫婦』では、家やモノの片づけを進めていることを明かしている。なぜ終活を始めたのか、どのように取り組んでいるのかを聞いた。
──5年ほど前から始めたそうですね。
中尾 最初は「終活」という言葉をまったく知らなかった。志乃も知らなかったね。(2006〜07年に)2人とも病気をしてから、「さて、どうしようかな? 片づけなきゃな」という意識はあった。
それで(13年に)「一応整理してみようか」となって、持っているものを書き出してみたんです。千葉のアトリエ、東京と沖縄のマンション、私が集めた絵や本、志乃の着物とか、いろいろあった。それから「これは妹たちにあげよう」とか、遺言を書いた。
で、しばらく経ったら、志乃が「お墓も造ったら?」と言うので、「俺にデザインをさせてくれないか」と言って造った。
そしたらテレビ局が取材に来て、「それ、終活ですね」と言われて、初めて終活という言葉を知った。じゃあ、せっかくだからいろんなものを片づけようか、という形で始まった。
池波 やっぱり病気になったのが大きいですね。沖縄のマンションで倒れたときに初めて、現実的なことを考えた。世間では「年を取ったら移住」みたいなことを言うでしょう。若いうちならいいけれど、沖縄には知り合いもそんなにいない。「このまま寝たきりになったらどうしよう。介護の人を頼んだりするの?」と。ちょっとのんきすぎたのかもしれないというのを身をもって感じました。
毎月沖縄に行って掃除、東京に帰るときにまた掃除、帰ってきて留守にしていた自宅の掃除……と、だんだんしんどくなってくる。
だから、終活はお年寄りの話と思っていたら大間違い。体力も必要だから、早ければ早いほどいい。さすがに30〜40代は早いけれど、50代は早すぎません!

男女の違いを認識しはっきり役割分担
──女性のほうが終活をリアルに捉えられるのでしょうか。