【今週の眼】小峰隆夫 大正大学地域創生学部教授
こみね・たかお●1947年生まれ。東京大学卒。経済企画庁経済研究所長、物価局長、調査局長、国土交通省国土計画局長などを経て、2017年4月から現職。日本経済研究センター理事・研究顧問も務める。著書に『人口負荷社会』『日本経済論の罪と罰』『政権交代の経済学』など。(撮影:尾形文繁)

平成経済の歩みをまとめる仕事に注力していたのだが、ようやくその成果が『平成の経済』(日本経済新聞出版社)として出版された。この考察の中でいくつかの不思議な点が浮かび上がってきた。主に次の5つである。

第1に、日本では「○○緊急対策」が頻繁に登場することだ。私がカウントしたところでは、平成を通じて31回もの経済対策が決定されている。ほぼ1年に1回だ。

これだけ頻繁に登場する(すべてが緊急対策と銘打っているわけではないが)ということは、緊急事態の基準が緩すぎるのではないか。またその多くは財政支出を伴うから(財政出動なしの対策もあるが)、安易な歳出増大につながってしまったのではないか。

第2に、なぜこれほど「円高恐怖論」が蔓延するのだろうか。なぜか日本では円高になると、経済的に打撃が大きいと大騒ぎになる。その議論はかなり一方的で、「円高は必ずしも困ったことではない」などと言うと袋だたきに遭いそうな勢いである。