みやた・ひろあき●2003年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了。厚生労働省のIT、AI活用推進の懇談会などでの委員経験多数。(撮影:尾形文繁)

バイオテクノロジーとAI(人工知能)やIoTの進化で、医療の形が大きく変わろうとしている。次世代の“勝者”は誰なのか。医療でのAIやビッグデータの活用に詳しい、慶応大学医学部の宮田裕章教授に話を聞いた。

──医療とテクノロジーが融合した先には、どんな世界が広がるのでしょうか。

最先端の医療技術として「オプジーボ」に代表される免疫チェックポイント阻害剤は、基礎研究も盛んに行われている。再生医療については、英『ネイチャー』誌などから臨床効果の判断に配慮を求める指摘もあり、スピードと科学的根拠のバランスが重要である。ただ、実現したときの社会へのインパクトは非常に大きい。

治療のアプローチは、一人ひとりの体質やスタイルに合わせたものになっていくだろう。これまでの医療は「集団平均」で判断してきた。この薬が平均的な人間にどれくらい効くのか、といった具合に。これからは、その薬が目の前の1人にどれくらい効くのか、どのようなサポートが必要なのかという個別化の視点が重要になる。

ゲノム医療は臨床研究ですでに重要な役割を果たしているが、実際の臨床でどう広げていくかについては、費用対効果の議論がある。相性のよい薬を探し出したり、先天性疾患を診断・治療したりするのには強力。ただ後天的な要素、つまり生活習慣や環境に影響される疾患に関しては、ゲノム以外の情報を活用する視点が重要になる。

生活密着データが重要、アップルも医療に触手

──では、ゲノムで説明できないものを補うのは何でしょうか。