デジタル政府構想に暗雲、立ちはだかる2つの壁 システムの根幹に関わる問題点は見過ごされたまま

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政府が目指す行政手続きのデジタル化。本当に制度は機能するのか。

デジタル政府構想では、全国民によるマイナンバーカード取得を大前提にしている。しかし、実際の取得率はまだ1割強にすぎない(写真はイメージ)(読売新聞/アフロ)

これまで役所に赴かなければできなかった行政手続きをスマートフォンやパソコンでできるようにする「デジタル政府」日本版の骨格が見えてきた。政府が今国会に提出した「デジタル手続き法案」で方針を示した。

安倍政権は2013年に世界最高水準のIT国家を目指すことを閣議決定し、行政手続きや民間取引のオンライン化を重要課題に位置づけた。先進諸国に大きく後れを取っているとの危機意識からだ。約4万6000種類ある行政手続きのうち、デジタル化されているのはわずか1割強。法案の目的は、デジタル化を推し進めるところにある。

デジタル政府構想は、マイナンバー(個人番号)カードと政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」が重要な役割を担う。マイナポータルは17年に運用が始まった国民一人ひとりの専用サイトだ。

マイナポータルにアクセスすれば、行政機関が有する自身の個人情報の把握や、子育てに関する手続きを、オンライン上でできる。さらに今回の法案が通れば、19年度からは引っ越しに伴う住民票の異動や死亡、相続の手続きなどもできるようになる。その後もサービス内容は拡充されていく見通しだ。

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