ささき・とおる●2015年6月から現職。03年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストとして金融市場を調査・分析。その前は日本銀行に勤務、調査統計局などを経て、国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当、ニューヨークで米国金融市場分析も担当した。(撮影:今 祥雄)

4月第1週に筆者は香港、シンガポールに出張し、現地の機関投資家たちと面談した。そこで最も印象的だったのは、米中通商交渉の行方や中国経済に対して楽観的な見方が広がっていたことだ。

ある中国人エコノミストは、「以前は北京から離れれば離れるほど中国経済に弱気な人が多かった。しかし、昨年末から本年初にかけては北京に近づけば近づくほど中国経済に弱気な人が多くなっていた。もっとも、このところは北京周辺の人たちが楽観的になり始めた」と話した。北京周辺の人々が楽観的になっている理由は、習近平国家主席が経済政策や対米政策で現実的な政策を採っていることに対する安心感もあるようだ。

中国の3月PMI(購買担当者景気指数)が市場予想を上回ったことも、こうした楽観的な見方に影響したのかもしれない。JPモルガンのエコノミストも、今年1〜3月期の中国の実質GDP(国内総生産)成長率を前期比年率6.1%から同6.4%まで引き上げた。1月末時点の予想は同5.9%であったため、すでに0.5ポイントも上方修正されたことになる。