日産は「ガバナンス不全」から完全脱却できるのか カルロス・ゴーン氏の取締役解任で出直し

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日産の改革を記念する碑の除幕式で会見したカルロス・ゴーン氏(2017年)(写真:日産自動車)

20年にわたって日産自動車の頂点に君臨してきた男が、完全に日産を追われた。4月8日に開かれた日産の臨時株主総会には、過去2番目に多い4119人(最多は2018年6月の定時株主総会)が都内のホテルに足を運んだ。総会ではカルロス・ゴーン前会長の取締役職を解任することを決議。併せて、日産に43.4%を出資するフランスのルノーからジャンドミニク・スナール会長を取締役として迎え入れることも決め、「ポスト・ゴーン」への新体制移行が名実ともにスタートした。

今後の焦点は、ゴーン氏の暴走を許したコーポレートガバナンス(企業統治)体制の立て直しだ。日産のガバナンス改革のあり方を議論していた「ガバナンス改善特別委員会(ガバナンス委員会)」は3月27日、指名委員会等設置会社への移行を柱とする提言の報告書を公表した。日産は6月の定時株主総会までに、提言を基に取締役会などで議論を進めていく予定だが、「基本的には前向きに対応していく」(日産関係者)方針だ。報告書の提言は38項目に及び、その大半を受け入れた場合、日産の新体制はどのようになるのか探ってみたい。

ガバナンス報告書の目玉は2つ

報告書では、ゴーン氏による不正行為を「典型的な経営者不正」と断定。日産とルノーの経営トップを兼任したゴーン氏に人事や報酬などの権限が集中したことに最大の原因があり、その独裁体制を支えるために一部の管理部署を前代表取締役のグレッグ・ケリー氏に支配させて「ブラックボックス化していた」ことなど、ガバナンス不全に陥った要因をいくつも指摘した。

そこでガバナンス委員会が改革の目玉として打ち出したのが、「指名委員会等設置会社」への移行と「取締役の過半数を社外取締役とする」という2つだ。

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