Ezra Feivel Vogel●1930年生まれ。67年から2000年まで米ハーバード大学教授。専門は東アジア研究。79年刊の『ジャパン・アズ・ナンバーワン』がベストセラーに。

ソニー、松下電器(現パナソニック)、東芝、NEC。こうした日本企業の技術力と革新性を、私はかつて称賛した。1950年代から70年代、経済の急成長を牽引した企業の多くは、オーナー経営型で、若い起業家が率いていた。海外から貪欲に学び、投資を果敢に行った。ホンダやトヨタ自動車もそんな存在だった。

進取の気性、勤勉さという美徳は今も日本企業から失われていないとは思う。だが以前ほどの熱心さが見られるかというと、首をかしげてしまう。「危ない橋を渡るような投資はちょっと……」と、躊躇するような傾向は、日本企業が安定を手にした80年代後半以降から広がっていった。