聖橋方面から見た御茶ノ水駅工事の様子。建設中の3階部分に工事スタッフの面々が見える(写真:松本恭子)

JR東京駅から中央線快速で2駅目、2.46キロメートルの位置にある御茶ノ水駅。中央・総武緩行線との乗り替え駅でもある同駅では今、大規模リニューアル工事が進んでいる。

ホーム目前の神田川上空は川幅の半分以上が鉄板で覆われ、ホームの上には新しい建屋ができつつある。そして今年1月12日には下り線ホームに、22日には上り線ホームにエスカレーターが突如出現し、それぞれ19日、29日に動き始めた。上下線でエレベーターも利用可能になった。

多くの利用客が日々見ているこの工事は、どのように進められているのだろうか。JR東日本・東京工事事務所山手の高橋正則さん(副課長・山手グループリーダー)、同上野工事区助役の伊東寛さん、御茶ノ水駅改良工事共同企業体(鹿島・大成建設共同企業体〈JV〉)所長の西坂雄二さんに聞いた。

写真左=伊東寛さん(右)、鹿島・大成建設共同企業体所長の西坂雄二さん(左)(写真:山根一眞)、写真右=JR東日本の高橋正則さん(工事管理担当)(写真:松本恭子)

山根 エスカレーター4基が突然出現し驚きました。空から舞い降りたのかと思いました。

一晩で設置されたエスカレーター(写真:山根一眞)

西坂 おっしゃるとおり、空から舞い降りました。ホーム上のコンコースで組み立てたエスカレーターを120トンの大型クレーンで吊り上げ、静かに斜めに降ろし、一晩で設置しましたから。

山根 そんなむちゃなことをしたんですか!

伊東 エスカレーターは、下に基礎となる支えを作り、下から組み上げるのが通常ですが、それにはホーム上に2〜3カ月は仮囲いが必要です。しかしホームは幅が約6メートルと狭いうえ、1日約10万5000人のお客様がいる。仮囲いの設置期間を短くする必要がありました。

山根 こんな工事は初めて?

御茶ノ水駅改良工事共同企業体所長の西坂雄二さん(写真:松本恭子)

伊東 メーカーの日立ビルシステムさんも初めてと言っていましたから、おそらく日本初でしょう。

高橋 既存の建物ではできない施工です。ホーム上の構造物が未完成で空間があったため、上から吊り降ろすことができました。

山根 既存の建物へのエスカレーター増設となれば、階段の一部の撤去工事も必要になりますね。

高橋 工程の調整は非常に大変で、施工会社さんにもかなりの苦労をかけました。

周辺には多くの病院

ホーム上の2階に現れた通路(写真:山根一眞)

山根 私、エスカレーターの利用開始日に初乗りしましたが、2階に通路ができていてびっくりしました。

伊東 まだ工事途中ですが、すでにコンコースの一部ができています。ここは御茶ノ水橋口と聖橋(ひじりばし)口を結ぶ通路になり駅施設などもできます。現在、3階部分の工事も進めていますが、ここには駅職員の仮眠室もでき、女性職員も利用できるようになります。

高橋 エレベーターは、バリアフリーに欠かせない設備です。エレベーターなら車いすのお客様も楽にホームに降りられますし。とりわけ御茶ノ水駅かいわいには病院が多いので、これらバリアフリーの要求が大きかったのです。

山根 東京医科歯科大学医学部附属病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、日本大学病院。少し離れますが東京大学医学部附属病院もありますね。

階段しかないため、車いす利用者は階段に取り付ける昇降機を使わなければならなかった(写真:山根一眞)