国内貨物輸送を担う内航船。燃料費上昇を荷主にどう転嫁するかが喫緊の課題だ

「3兆円を超える環境コストを海運業界だけで負担するのは厳しい。広く社会で受け止めてほしい」と悲鳴を上げるのは、海運会社の業界団体である日本船主協会の大森彰・常務理事だ。

2020年1月、海の環境規制が強化される。大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOx)の排出を減らすための規制だ。船舶燃料に含まれる硫黄分の上限を、これまでの3.5%から0.5%へ、7分の1に引き下げる。

この規制に対応するコストは世界全体で年間3兆3760億円に達する、と日本船主協会はみている。

たとえば海運大手、商船三井は年間約320万トンの船舶燃料を自社で調達している。その燃料価格が規制対応で1トン当たり100ドル上昇すれば、約350億円のコストアップとなる。商船三井の18年3月期の連結営業利益は226億円。一気に赤字に転落しかねない。しかも、「グループ会社が調達している燃料への影響も考慮すれば、コストはもっと増える」(同社)見通しだ。

この環境規制は、国連の専門機関で、船舶の世界的なルール作りを行う国際海事機関(IMO)が16年10月に、20年1月から実施すると確定した。一般海域を航行する世界中の船舶に適用される。