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デイヴィッド・ピリング「GDPで見た日本は一面的なものだ」 フィナンシャル・タイムズ・アフリカ編集長に聞く

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David Pilling/英ケンブリッジ大学卒業、1990年からフィナンシャル・タイムズ紙記者。2002〜08年にフィナンシャル・タイムズ紙東京支局長。(撮影:今井康一)

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先進国経済が成熟化する中、GDP(国内総生産)だけで経済パフォーマンスや人々の満足度を計ろうとする従来の手法は限界に近づいている。3月20日に邦訳版が出版された『幻想の経済成長』でGDP神話にメスを入れたデイヴィッド・ピリング氏に話を聞いた。

──日本に初来日したとき、驚いたそうですね。

2002年、私はフィナンシャル・タイムズの東京支局長として来日した。当時、世界の日本に対するイメージはひどいものだった。一時は経済超大国に上り詰めながらもその状況は崩壊し、悲惨な経済の低成長がずっと続くといわれていた。だが、来日したときの印象はまったく違った。もちろん完璧ではないが、問題は全然なさそうで、人々は満足そうだった。

──その当時、日本の名目GDP(円ベース)は減少していました。

われわれは経済や社会の状況をすべてGDPで表現しがちだが、それは間違っている。例えば、日本は犯罪の少ない国だが、GDPの計測では犯罪が多いほど経済はよくなる。防犯用品が売れたり警察や警備会社の人員が拡充されたりするからだ。GDPは生産に関する指標であり、それがネガティブな防犯目的であっても、生産が多いほどよいことになる。

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