後発医薬品のことを俗に「ジェネリック」といい、先発医薬品と同じ有効成分を用い、効果と安全性がほぼ同等であると認められた医療用医薬品のことを指す。先発医薬品が10年から20年の開発期間を経て数百億円の投資が必要なのに対して、ジェネリックは数年の期間で極めて少額の投資で開発が可能なために、新薬の特許期間が切れるとぞろぞろ出てくることから「ゾロ薬」と呼ばれることもある。

ジェネリックの使用率を国が高めようとしているのには、理由がある。ジェネリックは先発医薬品の半分程度の価格のため、患者負担を軽減できるうえ、医療保険財政の負担を減らせるからだ。先進国では米国のように、ジェネリックの数量ベースの使用率が90%を超える国もある。対して日本の使用率は、2000年代の30%から大幅に上昇しているものの、厚生労働省によると17年3月時点の使用率は全国平均で68.6%にとどまる。そうした中、日本政府はジェネリックの使用率を20年9月には80%まで引き上げる考えだ。

また、使用率の格差が全国で大きいのも問題だ。厚労省によると、16年度末のジェネリック使用率トップは沖縄県の79.9%で、鹿児島、岩手と続く。対して最下位は徳島県の59.9%で、山梨、高知が続く。全国で唯一60%を切った徳島県では、大手調剤薬局が少なく小規模店が多いうえに、大学病院前薬局のジェネリック使用率が40%前後と低迷している点が響いている。こうした状況を踏まえて日本政府は、価格が割安なジェネリックの使用率を高めるために、普及率が低い都道府県を選定し改善を促している。

最下位、徳島県の挑戦

ここまではっきりと名指しされたら、誇り高い阿波男・阿波女の意地が黙っていない。名物の阿波踊りで歌うように、「踊る阿呆(あほう)に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」。徳島県はジェネリック使用率向上の施策に乗り出した。

倫理的消費の啓蒙に熱心な県知事の肝煎りで、県庁内に消費者庁の「消費者行政新未来創造オフィス」を17年に設置し、行動経済学の知見を生かした消費者教育を展開している。筆者は客員研究主幹として、17年にノーベル経済学賞を授与された米シカゴ大学教授のリチャード・セイラーが提案した「ナッジ」の活用に努めている。ナッジとは、「ひじで突っつく」という意味で、「人が何かを選択をする際、よりよい選択につながるように促す工夫」をいう。