すえよし・たけじろう●東京大学卒業、三菱銀行入行。日興アセットマネジメント副社長などを経て、2003年に国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問就任。現在、自然エネルギー財団副理事長、CDPジャパンチェアマン、WWFジャパン会長、気候変動イニシアティブ代表を務める。(写真:今井康一)

石炭や石油などの化石燃料から、太陽光や風力など再生可能エネルギーへのシフトは「脱炭素化」と呼ばれている。今やその流れは世界で激流となり、社会やビジネスのあり方を大きく変えつつある。国や企業はどんな対応を迫られているのか。

──国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問として、末吉さんは20年以上前から気候変動問題の深刻さや脱炭素化の重要性を訴えてきました。現在の状況をどう捉えていますか。

2015年という年に着目しています。第2次世界大戦後、最も重要な年だといえます。なぜなら、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)と、気候変動に関するパリ協定が生まれたからです。それぞれ30年と50年を目標としたこの2つの国際協定が、世界の経済や企業活動の変革をリードしているのです。

──日本の経済や企業への影響はどうでしょうか。

日本が第2次世界大戦後に築き上げてきた経済のモデルは、壊されていくでしょう。マクロとしての日本経済の運営のあり方だけでなく、個々の企業のビジネスモデルも同様です。あえて「壊されていく」と表現したのは、脱炭素社会をつくるための大変革が起きているからです。しかもそれは直線的ではなく、断絶的な変化です。

今までのものを改善しながらモデルチェンジしていくやり方では対応できない。根本的に違うものをつくっていかなければ、問題の解決にならないのです。

──具体的にどのような動きに注目していますか。

いちばんいい例は自動車産業です。エンジン車の販売を40年までに禁止するとフランスが言い出しました。17年7月のことです。すると、英国も追随した。これにはびっくりしました。

パリ協定が採択される直前の15年10月に、トヨタ自動車が50年をターゲットにした環境戦略を打ち出した。あのトヨタがついにというべきか、50年には自動車が排出するCO2をゼロに近づけるというメッセージを発したのです。