途上国における教育の「質」を改善するため、日本の教育産業のノウハウを活用し、小学生の学力と非認知能力の向上を達成したプロジェクトを紹介したい。舞台はバングラデシュの首都ダッカにあるスラム街だ。

かつてアジア最貧国と呼ばれたバングラデシュも今や、中所得国の仲間入りを果たした。その成長の軌跡は、2000年時点では達成困難と思われたミレニアム開発目標(MDGs)の多くを、15年までに達成近くまでこぎ着けたことにも表れている。中でも教育目標に関しては、00年の時点で66%だった小学校の卒業率が、15年には81.3%まで上昇した。並行して女子の就学率も上昇し、初等・中等教育就学率は女子のほうが男子よりも高くなった。

他方、小学校を卒業しても基本的な四則計算や読み書きが満足にできないという、学力問題が浮かび上がっている。多くの途上国においても同様の課題が確認されており、このような「学習の危機(Learning Crisis)」を克服するべく、関係各所で教育の「質」の改善方法が検討・検証されている。

教育の「質」改善と聞いて、教員へのトレーニングや賃金引き上げを思いついた方もいるだろう。しかし、これらは児童の学力を引き上げる短期効果が乏しいことがわかっている。なぜなら、質の高い教員を育て全国に配置するためには、長い時間がかかるからだ。

一方、有効な対処法の1つとして、レベル別授業など「授業レベルを生徒に合わせること(Teaching at the Right Level)が重要」との結果がいくつかの研究から導き出されている。