週刊東洋経済 2019年3/30号
書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

日本で初めてコンビニエンスストアをつくったセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文名誉顧問。昨年12月の本誌インタビューで、「注目する小売店」として迷いなく真っ先に挙げたのは、総合ディスカウントストアのドン・キホーテだった。

GMS(総合スーパー)最大手、イオンの岡田元也社長も3年ほど前から、「今の時代はドンキの経営を参考にしなければならない」と、周囲に語っているという。

徹底した個店主義と独特の売り場演出──。業界で「異端児」と言われ続けてきたドンキの経営手法に、熱い視線が注がれている。

日本では1960年代後半以降に誕生したGMSやコンビニが、店舗運営に統一性を持たせるチェーンストア理論を基盤に、高度成長期の波に乗って拡大した。が、今や画一的な店舗仕様では需要を取り込めなくなった。米アマゾンを筆頭にネット通販企業も台頭。GMSは販売不振に苦しみ、コンビニも店頭売り上げが頭打ちだ。加えてコンビニでは、24時間営業を義務づける制度に地域オーナーから不満が噴出している。

下図表を見てほしい。小売業の「王道」だったビジネスモデルが限界を見せつつある一方、ドンキは快進撃を続ける。第1号店が開業した89年以来、29期連続で増収増益を達成。時価総額も小売業で国内6位に浮上した。

ドンキは撤退したGMSの跡地に次々と出店。業界で語り草となっているのが、2017年10月の、イトーヨーカドー豊橋店の跡地への出店だ。GMSが苦戦する衣料品や雑貨でも売り上げを伸ばし、同店の売上高はヨーカドー時代の2倍超に達した。「GMSを再生できるのはドンキしかいない」(スーパー業界首脳)。今年1月には、ユニー・ファミリーマートホールディングスから東海地方の名門GMSであるユニーの株式を追加取得し、完全子会社化した。

今年2月、アジアや米国での展開に本腰を入れる意図を込め、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下、PPIH)に社名を変更した。海外事業がもくろみどおり成長すれば、ドンキの存在感はさらに増す。

大手のまねは絶対しない 原点は「権限委譲」