ルノーのスナール会長(左)と日産の西川社長は記者会見で融和を演出した(撮影:大澤 誠)

昨年11月に日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が逮捕されてから表面化していた、フランスのルノー、日産、三菱自動車の3社連合内での不協和音が、沈静化に向かっている。連合内での主導権などをめぐり対立が深まっていたが、経営統合構想など争点は棚上げし、ひとまず「手打ち」したといえる。3社は今後、組織や人事などの見直しを進め、「ゴーン流経営」の清算を加速していく構えだ。

「単に体制を再構築するだけでなく、連合発足当初の精神を取り戻す」(ルノーのジャンドミニク・スナール会長)。3社首脳が3月12日、共同で記者会見し、提携戦略を協議するための新組織「アライアンス・オペレーティング・ボード(AOB)」を設立すると発表した。AOBは、ルノー会長と3社のCEO(最高経営責任者)の4人で構成。ルノーと日産、日産と三菱のそれぞれの統括会社に加え、3社CEOによる会議体(ASC)が混在して複雑だった連合のガバナンス体制は一本化される。

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(撮影:大澤 誠)

新体制によって、ゴーン氏への権力の一極集中から、3社首脳の合議による集団指導へ移行する。事件前はゴーン氏が3社と統括会社、さらにASCのトップの座を事実上独占していた。こうした権限の集中がゴーン氏による不正の背景にもなっていた。

経営規模で劣るルノーの主導による連合の運営体制に不満を募らせていた日産が得た果実は小さくない。AOB議長はルノー会長に譲ったが、議長の権限は議事進行など一部に限られる。ルノーのスナール氏は「日産会長になろうとは思っていない」と、ルノー側の指定席だった日産会長職を求めない考えを示している。これには日産の西川廣人社長も「対等なパートナーシップで、日産にとって大きなステップだ」と満足げな笑顔を見せた。

3社が歩み寄った背景には、連合はすでに不可分といえるほど開発や生産など事業面での協業が深まっている現実がある。「コモン・モジュール・ファミリー(CMF)」と呼ばれる共通の設計手法を活用した新車開発が各社で進められ、工場の相互利用も活発だ。