通常国会の予算審議では不適切統計問題が最大の争点となった(読売新聞/アフロ)

通常国会の予算審議では、経済分野の統計のずさんさが最大の争点となった。事はかなり専門的なテーマであり、世論の関心も高まらなかったので、政府は野党の追及をかわして逃げ切った感がある。しかし、経済の実態を測定する物差し自体に歪みがあったという疑惑は続いている。

日本経済新聞の昨年11月13日朝刊に、「国内総生産(GDP)など基幹統計の信頼性に日銀が不信を募らせ、独自に算出しようと元データの提供を迫っている」という記事があった。今回問題になった賃金統計のずさんさについてはすでに日銀が疑義を呈していたのである。政治的圧力が働いたかどうかは知るすべもないが、安倍晋三政権の長期化の中で、政権が掲げる目標が達成されたことを示す数字を拾い集めるという「問題意識」が所管官庁にあったことは事実であろう。

アベノミクスが成果を上げているかどうかを国会で議論しても、水掛け論になる。むしろ野党は、短期的な政策の成否について議論するよりも、安倍政権が放置している長期的、構造的な問題について論争を提起し、自らの選択肢を示すべきである。

日本の深刻な構造問題

人口減少が進むことは止めようのない現実である。その原因の1つは、1970年代に生まれた団塊ジュニア世代が第3次ベビーブームを起こさなかったことである。なぜこの世代がそれほど子供をつくらなかったかといえば、大学を出たときが金融危機や非正規雇用急増の時期に重なり、低賃金で働く労働者が増えたことによる。この世代には引きこもりになった人も多い。人口減少が加速したのは人災である。

その団塊ジュニア世代も今は40代後半である。20年後にこの世代が退職するとき、十分な年金を受給できず、生活保護に頼る人の数が増えることが予想されている。財政、社会保障の破綻を防ぐために、この世代を社会に包摂し、稼ぎ、納税できるようにすることは時間との競争である。