その瞬間は間近に迫る。4月1日午前、山中伸弥京都大学教授や作家の林真理子氏など有識者の会議で新しい元号案が示される。意見を頂戴してから閣議が招集され、杉田和博官房副長官が、「新しい元号は××」と告げる。菅義偉官房長官が「よろしいか」と問う。もちろん異論が出るはずもない。次の元号は正午に公表される。

この日の午前中には、全国的に「入社式」が行われている。若者たちを相手に、無数の社長さんが「訓示」を述べる。しかしその中身は、お昼を過ぎれば一瞬にして蒸発するはずだ。「新しい元号」のインパクトにはかなうまい。

その瞬間に多くの人が覚えるのは、感動や満足よりもむしろ違和感であろう。30年前に「平成」という言葉に初めて接したときもそうであった。ただし、すぐに新しい名称に慣れるのも同様であろう。この国は、そういうことを延々と繰り返してきたのだから。