【今週の眼】佐藤主光 一橋大学教授
さとう・もとひろ●1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

公的統計、医療・介護、学校教育、公共事業、地方自治体。これらに共通する課題がある。それは人手不足である。

毎月勤労統計調査に端を発した公的統計の不正も背景には統計職員の不足が挙げられる。高齢化に伴い医療・介護の分野では2040年度まで240万人余りの増員の必要性が見込まれている。文部科学省は教員定員数の不足を理由に部活動を含めて教員の負担が増していると主張してきた。政府は防災・減災に向け今後3年間で7兆円規模の緊急対策を打ち出したが、25年度には最大100万人の建設作業員が不足するという試算もある。また、総務省の「自治体戦略2040構想」研究会は40年には今の半数の公務員で行政を担う必要があるとの報告をまとめた。

それぞれの現場からすれば人員増が求められるところだろう。しかし、高齢化・人口減少に伴い、就業人口は現在の6600万人から25年度に6350万人、40年度には5650万人へと減少していく。わが国はこうした要求のすべてに応えられる状況にはない。