迷走する「日の丸半導体」、ルネサス生産停止の深層 現実は復活とは程遠い

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工場の稼働率を引き上げるとの説明から一転、急ブレーキを踏む。その原因とは?

5月と8月に生産停止を検討するルネサスの川尻工場。熊本地震の際も生産が止まった(朝日新聞社/ 時事通信フォト)

政府系ファンドのINCJ(旧産業革新機構)が33.4%を出資する日の丸半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクスが異例の生産停止に踏み切る。

対象は国内外14工場のうち米国子会社工場を除く13工場。とくに国内の9工場が中心となる。シリコンウェハーに回路を書き込む「前工程」を担う6工場は、今年5月と8月にそれぞれ約1カ月、最大2カ月の生産停止を検討中。回路形成されたウェハーを最終製品であるチップに加工する「後工程」の3工場は週単位で複数回生産を停止する。

この間、国内だけで1万人近くの工場従業員が一時帰休となる。休業手当は支給されるが、仕入れ先など関係者への影響は大きい。

半導体工場は24時間操業が基本で、完全にラインを停止することは年間を通してほとんどない。クリーンルームの環境を一定条件に安定させるなど、再稼働に数十時間かかるからだ。ルネサスでも災害を除けば長期間生産を止めることはこれまでなかった。1カ月単位の生産停止となると業界でも前例がない。

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