1月にスポーツカー「スープラ」を発表。「自動運転の時代にもFUN TO DRIVEは残る」(豊田社長)(ロイター/アフロ)

「トヨタは社内もグループも平和ボケしている。そこに活を入れる」──。昨年後半から年明けにかけトヨタ自動車が打ち出した、販売店や人事の改革施策が大きな波紋を呼んでいる。これらの狙いについてトヨタ役員は冒頭のように語った。

「100年に一度の大変革期に入った。生きるか死ぬかの瀬戸際の戦いが始まった」と豊田章男社長が宣言したのは2017年11月。それまでは「バッターボックスに立とう」といったマイルドな言葉で社員の意識改革を促してきたが、その表現は一変した。

18年初めには、移動や物流などに使うモビリティサービス基盤を発表。「人々のさまざまな移動を助ける会社、モビリティカンパニーに変革する」と踏み込んだ。

矢継ぎ早に打ったCASE時代への布石

トヨタは日本の自動車メーカーの中では最も積極的に、次世代競争のカギを握るCASE(コネクテッド、自動運転、シェア、電動化)の対応に手を打ってきた。

自動運転に必要な人工知能の研究では16年に米国で超一流の人材をスカウトして研究機関を設立。米ウーバー、東南アジアのグラブなど世界的な配車サービス会社への出資やソフトバンクグループとの提携も行った。電動化対応では、パナソニックと車載用電池の開発・生産を行う合弁会社をトヨタの51%出資で設立する。

ただ、世界に目を転じるとトヨタも遅れている。変化のスピードを上げなければ新しい競争の時代に生き残れないという焦燥感が経営陣にある。しかし、足元で2兆円近い純利益を稼ぎ出すトヨタに対し、社内、グループ、取引先、さらには国も含めて依存心が抜けない──。「平和ボケへの活」は、危機感が思うように広がらないことへのトップのいら立ちといえる。そこでトヨタは、“ショック療法”に打って出た。

19年元旦、主要全国紙に「トヨタイムズ」という全面広告が出た。これは、「トヨタに関わる全ての方にトヨタのインターナル(内側)をお見せする」とした自社メディア。目下、動画も駆使して大量の情報を発信している。