ささき・とおる●2015年6月から現職。03年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストとして金融市場を調査・分析。その前は日本銀行に勤務、調査統計局などを経て、国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当、ニューヨークで米国金融市場分析も担当した。(撮影:今 祥雄)

このところ海外の投資家から筆者に、日本銀行による追加緩和の可能性はあるのか、あるとすればどのような手段になるのか、またその場合の市場へのインパクトをどう考えるか、といった質問が増えている。世界景気に加え、日本景気の指標も弱く、インフレ率の上がる見通しも立たないことが、追加緩和への思惑を強めているものと思われる。

また、通常国会で黒田東彦日銀総裁が質問を受ける機会が多くなり、日銀からの金融政策に関する情報発信が増えたことも、市場参加者の目を日銀の追加緩和に向かせているのだろう。

日銀による金融緩和の追加の手段としては、イールドカーブを引き下げる、金融機関向け資金供給の金利をマイナスにする、フォワードガイダンスの強化により金融緩和が続く見通しを示す、ETF(上場投資信託)の購入額を増額するなどいくつかの選択肢があると考えている。

しかし、日本経済の現状程度の減速では日銀は追加緩和を行わないとみている。世界経済の先行き不透明さ、10月の消費増税などがある中、日銀は追加緩和手段を温存しておきたいと考えるだろう。