日産の西川社長にとって北米再建は「脱ゴーン」の一里塚だ(撮影:今井康一)

日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の逮捕から100日余り。それを発端に表面化した日産と提携先の仏ルノーとの主導権争いは、ルノーにおけるゴーン氏の会長辞任と新会長就任によって一時停戦状態に入っている。

その一方で、西川廣人社長率いる日産は、ルノーに対してこれまで優位だった業績の不振が深刻化しており、アライアンス(企業連合)内での発言力に影響を及ぼしそうな気配になっている。

日産は2月12日、2019年3月期の営業利益予想を900億円下方修正した(通期見通しは前期比約2割減の4500億円)。主因は北米の深刻な不振だ。大半の日系自動車メーカーにとって北米市場はドル箱。日産もここ数年、北米が営業利益の4割前後を稼ぎ出していた。だが、今期18年4~12月期の北米の営業利益は、近年のピークだった16年3月期比で7割も減少。とくに今期後半の販売台数は1~2割減と失速が明らかだ。

悪化の原因は根深い。近年の日産の北米での販売は、インセンティブ(販売奨励金)を原資とした値引きによって維持されてきた。表面上は好調だった16年でも日産車のインセンティブは1台当たり3500ドル前後で、ホンダは1500~2000ドル、トヨタ自動車は2000ドル台だった。ゴーン流経営の時代、目先の数字達成が最優先だった。

北米市場での新車販売が頭打ちになると値引きによる増販効果より収益悪化が大きくなった。だが、値引きを抑制すれば売れない。昨年前半から日産は値引き依存で販売台数を追求する戦略をやめ、ブランド重視に転じたと説明している。確かに日産車のインセンティブは低下傾向にあるが、まだ業界平均を上回っている。

日産が想定した以上にブランドの毀損が進行している様子で、西川社長も「背伸びした計画と無理な販売手法をこれまで繰り返してきた結果、ブランド価値で売るだけの実力が十分でない。一時的な台数減は避けて通れない」と認めざるをえない状況だ。