おおまえ・けんいち●1943年生まれ。米マサチューセッツ工科大学大学院で博士号(原子力工学)。日立製作所を経て、マッキンゼー日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任。2010年4月から現職。(撮影:梅谷秀司)

日本の自動車産業は成功したがゆえに変われない。産業構造が大きく変わるときにいちばん遅れてしまう。自動運転の時代が迫っているにもかかわらず、トヨタ自動車は「FUN TO DRIVE」、マツダは「Be a driver.」と言っている。意思決定においてあまり躊躇しない中国勢が先行していくのはある意味当然だろう。

中国は政府の方針で電気自動車(EV)化に力を注いでおり、補助金も大きい。日本が昔からコツコツやってきたのに、スピードとスケールで主導権が中国に移ってしまう。そこで、日本企業がどう対抗すべきかを考えると、意外とハイブリッド車(HV)がいいという結論になる。

ロビー活動が不十分 日本の強みを生かせ

少なくとも欧州や日本、米国などではガソリン車はよくないという認識がある。ディーゼル車も排ガス不正などがあり今は皆距離を置き始めている。とくに米ロサンゼルスなどの大都市では車の排ガスで大気汚染も起きている。そこで、HVとGPS(全地球測位システム)を組み合わせ、都市部は電気を動力源にし、郊外ではガソリンエンジンで駆動させればいい。

これだとEVとは違い航続距離や充電ステーションの数などもあまり心配がいらない。自動車メーカーの人に「なぜやらないのか」と聞くと、今の会社のトップは内燃機関で育ってきたから、「都市部だけとはいえモーターで走ればいいとは、なかなか社内で言い出せない」と口にする。