コアファンの存在が企業の成長に不可欠。そんな「ファンベース」の考え方を提唱する佐藤尚之氏に、ファンと企業の関係について聞いた。

さとう・なおゆき●1961年東京生まれ。85年電通入社。コピーライターなどを経て、2011年に独立し現職。著書に『ファンベース』(ちくま新書)など。(撮影:今井康一)

──なぜ熱狂的なファンを取り込む企業が伸びているのでしょうか。

大きいのは人口急減と高齢化。人口が毎年100万人ずつ減っていく。少し前までは、「シニアはお金を持っているよね」といわれていたが、この2年ぐらいで急に、人生100年時代といわれるようになった。そうすると、「え? 俺たち、まだ30年生きるの?」となって、みんな財布のひもを締める。

さらに今はどんな商品を作っても、あっという間に追いつかれて陳腐化する。その点、ファンは感情で企業や商品を好きになる。そこが大事。企業の人と知り合って裏側にある苦労が見えてくると、ストーリーがついて共感や愛着が生まれていく。機能価値は簡単にまねできるけど、感情、情緒価値はコピーできない。ファンになってもらうことがすごく大事になってきた。

今は情報が多すぎるので、興味のない人に「これがいいですよ」と伝えるのは本当に難しい。新規のお客さんを獲得するよりも、何も言わなくてもこっちを見てくれているファンを大事にするほうが先決でしょう。

──ファンを重視すると先細りする、という不安が経営者にはある。