「ファンの心を躍らせろ!」。モノが売れない時代に事業を成長させるにはどうしたらよいのか。カギは熱狂的なファンの存在である。

スノーピーク|コアユーザーが毎年増えていく

商品の組み合わせの提案でスノーピークは顧客を囲い込む

「ダッチオーブンで作ったカレーはおいしいですね」「キャンプだけでなく、私は家でも煮込み料理に使ってますよ」──。東京都昭島市にあるスノーピーク直営店の敷地内で、週末夜に開催された「たき火トーク」イベント。参加した顧客は、たき火を囲みビールを飲み、振る舞われたカレーを食べながら、スノーピークのスタッフや隣り合った参加者と、商品の性能や最近行ったキャンプの話で盛り上がっていた。

スノーピークは、新潟県三条市に本社を置くアウトドア用品メーカーだ。1958年に金物問屋として創業、登山家だった創業社長の山井幸雄氏が当時の道具に不満を持ち、登山用品や釣り具を開発したことでアウトドア分野に進出した。

86年、2代目の現社長・山井太氏が入社しキャンプ製品の開発を開始。80年代終わりから90年代初めにかけてのオートキャンプ(キャンプ場の中まで自動車で乗り入れ、車の横にテントを張って自然の中で寝食を楽しむキャンプスタイル)ブームを追い風に、業績を一気に拡大させた。

今では、「キャンプ場に行くと、スノーピークのロゴが入った商品であふれている」(40代男性)と言われるほど、キャンプ愛好家の間での人気は高い。2018年度の売上高は前年度比22%増の120億円。従来品だけではなく、低価格のテントなど新製品で、キャンプ初心者の開拓に成功している。

ただ、そんなスノーピークも順風満帆だったわけではない。80年代終わりからのオートキャンプブームは、90年代後半に入ると一気に冷めていく。スノーピークの業績は93年をピークに7期連続の減収となる。