東京都墨田区。京成曳舟駅から程近い下町人情キラキラ橘商店街では、「ペイペイ使えます。」と書かれた真っ赤な旗が、数メートル間隔でひらめく。

「うちみたいな店にスマホ決済が必要か、正直わからない」。商店街の中にあるたこ焼き店・こんこんの店主はそう話す。墨田区商店街連合会とペイペイがタッグを組んだ「すみだキャッシュレス実証実験プロジェクト」。これに参加する形で、昨年12月からペイペイのスキャン支払い(店頭に掲示されているQRコードを客のスマートフォンで読み込む決済)を導入した店だ。

京成曳舟駅近くの「下町人情キラキラ橘商店街」では、たこ焼き店、茶葉店、ベーカリーなどあらゆる店がペイペイを実験的に導入している

商店街を訪れる客は高齢者が中心だ。こんこんの場合、1日に100人前後訪れる客のうち、ペイペイの利用者は多くて2~3人程度。ゼロの日もある。100億円還元キャンペーン中だからと買いに来る客や、「スマホ決済が使えるようになってすごく助かる」と喜ぶ客はいるものの、売り上げへの影響やキャッシュレス比率の上昇といった変化は特段ない。

現場の戸惑いとは裏腹に、決済事業者側は鼻息が荒い。コンビニエンスストアやドラッグストア、家電量販店など、大手チェーンへのスマホ決済導入が進捗する中、各社が次なるターゲットと定めるのは個人経営の中小店舗だ。