国会で統計不正問題について答弁する総務省統計委員会の西村清彦委員長(毎日新聞社/アフロ)

国会で統計不正の問題が取り上げられる日が続いている。世論調査でも政府の対応について批判的な声が強い。とはいえ関係者は、知らなかった、答えられない、問題はないといった答弁に終始している。

はっきりした事実関係からいえば、2015年に中江元哉首相秘書官(当時)から厚生労働省に統計についての疑問が提示され、並行して経済財政諮問会議でも、実体経済と比べて賃金のデータが低すぎるのではないかという疑問が出された。これを受けて16年から総務省統計委員会が検討を行い、18年1月に統計の対象が変更された。このとき、東京都の500人以上の事業所に対する調査が全体調査であるはずにもかかわらず部分調査で済まされていた。当初問題にされたのは、この変更が統計委に報告されていないことであった。

いくら官邸主導のように見えるとはいえ、安倍晋三首相が国会で「統計委をはじめ専門家の検討を経て、統計的観点から行われた」と述べたように、まずは統計委の専門的見地からの変更である。その限りで変更は正当化されている。

しかし、統計委は官邸と同調する形で統計データの収集方法の変更を進めながら、実際に賃金伸び率が18年に突出する結果が出ていると疑問を呈し、委員会に報告のない変更を行った厚労省について変更経緯の問題を指摘していた。融通無碍(むげ)のような姿勢でありながら、最終的に問題を明るみに出したのはまさに統計委であった。

だが、厚労省内のデータ集計手続きは今なお不透明であるうえ、1月23日に中立機関としての特別監察委員会が「組織的隠蔽はない」という調査報告を出してから、がぜん何かを隠しているという印象が強まった。ほんの6日間の調査にすぎず、その報告書における事実関係を見ても「組織的隠蔽」があったと疑わざるをえない内容だ。